法  話
仏事作法

(第4話)親の御苦労

娘がこの世に誕生して半年になります。連れ合いも私も毎日娘の世話に走り回り、娘の行動に一喜一憂しています。 連れ合いに比べ、私は世話する時間が少ないためか、また不器用なためか、娘はなかなか私に慣れてくれません。しょっちゅう大泣きをされます。「父親失格か」とショックを受ける毎日です。そんな時に、連れ合いの実家の母より、こんなメールが届きました。
 「最初はみんな、新米パパとママなんです。子どもと一緒な分だけ泣いて、本当のパパ、ママに成れるような気がします。焦らず、二人協力して頑張って下さい」と。

 私はこの言葉に大変勇気づけられました。
義理の母自身が体験した「親になるという苦労」を、私に教えてくれたのだと思います。ふと私もそうやって両親に育てられてきたのだったと思い当りました。私を育てるのに親に涙をどれくらい流させたのかと思うと素直に頭が下がる思いがしました。そして同時に私は、阿弥陀様のことを思いました。
阿弥陀さまは、まるで親が子を思うように、「私はあなたのことが心配で心配でたまらないのです。何がなんでもあなたを救わずにはおられません。あなた一人を救いもらすようなことがあったなら、私は仏とはなりません」とまで誓って下さったのです。そして私を救い遂げる為の手立てのすべてを、阿弥陀様の側で引き受け、成し遂げて下さったのです。それはどれ程、途方もない御苦労だったでしょうか。

義理の母からのメールを通して、阿弥陀様の御苦労は決して他所の話ではなく、ひとえにこの私のためであったのだと知らされました。阿弥陀様の御苦労を思いつつお念仏を喜ばせていただきたいと思います。

南無阿弥陀仏。